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王者の武装
2010年5月5日掲載
写真提供:山口県立山口博物館

 ここに紹介する古びた鉄ヨロイは、県立山口博物館が保管する1500年以上も前(古墳時代)の短甲です。
 当時、鉄は大変貴重でした。砂鉄や鉄鉱石から鉄の延べ板を製錬するには高度な技術を要したためで、先進の中国や朝鮮半島からの輸入に頼っていました。つまり庶民にとっては簡単に入手できるものではなかったのです。地方の権力者たちは、鉄を多量に保有することによって権威を保持したと考えられます。
 写真の鉄製短甲は、昭和37年に山口市吉敷の天神山古墳から出土したもので、県内唯一の事例です。わが国の武具史を語るうえで大変貴重な資料といえます。鉄そのものが貴重であった当時、全身に鉄板をまとった天神山の被葬者は、きっと絶大な権力を誇示していたことでしょう。
 さて、当館ではこの短甲を5月23日までの期間限定で展示しております(考古テーマ展「懐古100年の秘宝」)。期間中、他にも貴重な考古資料の数々を公開しておりますので、ぜひご来観ください。
県立山口博物館 考古学専門学芸員   幸泉 満夫