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アメリカから小さな親善大使

 このほど大殿小学校(田中淳夫校長、606人)に、日米親善を願う「茶色い目の人形」が米国の使者から贈られた。同小には、昭和初期に贈られた「青い目の人形」が今も大切に保管されており、2体の人形は75年の時を超え、再び世界平和の大切さを子どもたちに伝えた。

 「青い目の人形」は1927(昭和2)年、日本人移民排斥運動など反日感情の高まりに心を痛めた一人のアメリカ人によって日本に贈られた。
 20年間日本に滞在し、同志神社学校教授を務めていた親日家のシドニー・ギューリック博士で、純真な子どもの世代から両国の関係を修復しよう│と考え、日本財界の長老、渋沢栄一氏と共に「友情の人形交流」を計画。博士の呼び掛けに賛同したアメリカ260万人からの寄付で1万2739体の人形が用意され、日本全国の小学校や幼稚園、その当時日本の影響が強かった朝鮮半島、台湾にも寄贈された。
 それぞれに名前を持ち、手づくりの服に本物そっくりのパスポート、友好を願うメッセージをたずさえた人形は、横にすると目を閉じ、声も出した。また、当時流行していた「青い目の人形」の歌とともに皆に親しまれ、とても可愛がられたという。日本も答礼の人形として、58体の日本人形を米国に贈っている。
 ところが、友情の証だったはずの人形は、41(昭和16)年に大東亜戦争が始まったことで「憎むべき敵国の人形」とされ、焼かれるなどして大半が処分された。そして終戦後、かくまわれるなどして戦争をくぐり抜けた人形が日本各地で見つかり、約300体が今も大切に保管されている。  山口県では、大殿尋常高等小学校4年生だった菜香亭の「おごうさん」斎藤清子さん(85)が県代表として人形を受け取っている。当時あった152体のうち、残っているのは同小の「ローズメアリー」含め4体。戦時中、誰がどのようにして人形を保護し、処分を免れたのかは分かっていない。
 このたび人形の贈呈式に出席したのは、アメリカ・コネチカット州在住の会計士、ビル・ゴードンさん(45)。4年前、日本人の妻・則子さん(52)らと共に米国に贈られた答礼人形を発見したことをきっかけに、「青い目の人形」に強い興味を持つようになった。以後、全国の小学校などを訪れ、人形を通 じて日米友好を呼び掛けている。
 昨年、ホームページで「ローズメアリー」の存在を知ったゴードンさんは、11月に同小を訪問。人形と対面 を果たし、児童らと交流した。帰国後、友人で博士の孫にあたるメリーランド州立大教授のシドニー・ギューリック三世に報告。感激したギューリック氏は、新しい友情の人形「ティナ」を同小に贈ることにした。ギューリック氏は祖父の遺志を継ぎ、87年からこれまでに新たな人形166体を日本各地に贈っている。
 先週開かれた贈呈式には、斉藤さんも出席。「人形を見ると、異国の人がそこにいるような気がしたものです」と当時を振り返り、子どもたちと一緒に茶色い目をした人形「ティナ」を歓迎した。
 ゴードンさんは「地球上に住む全ての人と仲良くしてほしい。そのために何をすればいいのかを考えて下さい」とあいさつ。児童代表の野村周平くん(4年)に人形を手渡した。ゴードンさんに記念品の大内人形を贈った定行祐希さん(4年)は「人形を見ると、なんだかやさしい気持ちになれそうです」と喜んだ。