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おんなの目

コンニャク屋漂流記(2012年1月25日)
 星野博美著「コンニャク屋漂流記」を今読了した。これは、著者のルーツを探す旅の顛末を記したものである。本はSさんから借りた。「私は親に悪いことをした。親が病院のベッドで手書きの一族の系図を見せて話をしたがっていたのに、興味もなかったし、忙しかったから聞かなかった。寂しい思いをさせてしまったわ。死んでしまったからもう何も聞けない」と言いながらSさんは私に本を手渡した。
 “人は、どんな時、家族の歴史を知りたくなったり、人に伝えたくなったりするのか。それは終わりが近づいている時。”
 ここにSさんは心を痛めたのだ。
 私にも聞かなかった後悔はある。遅ればせながらルーツを辿ってみようかと思い、事始に本籍のあるK町の郷土史を開いた。もちろん我が家に関することはなにも書かれていなかったが、懐かしい人の名前をみつけた。二年前に亡くなったA氏。彼が寄稿した文章があった。先祖のことや戦死した兄弟のこと等が丁寧に書かれていた。A氏は私と同じK町の出身だったのだ。彼が体調が悪いのをおして自分史を書いていたのは知っていた。あの時、もっと話を聞けばよかった。もう聞けない。
 「コンニャク屋漂流記」著者、星野博美さんは、なんとか間に合った。
果たして大吉か?(2012年1月21日)
 正月元旦、近くの神社に初詣に行った。型どおりに平穏無事を祈った。その後に小さい声で「まだ発掘されていない才能が私にありましたら、どうぞもう人生も終盤にさしかかっておりますので、お早めに開花をお願いいたします」と祈り、ふかぶかと礼をした。
 境内の赤い御神籤箱に50円入れて引いた。大吉! ああ、今年は才能の花が咲くのだ、嬉しい! しかし、読み進むうちに、果たしてこれは大吉か? と納得できない気持ちがもやもやと湧いてきた。こう書いてあるのだ。
“身も進み財宝も出来て立身出世する。春の暖かい日に美しい花の野を心楽しく遊びに行く心地がする。よき人の引き立てにあずかります”。
 誰が私を引き立ててくれるのか? A子かしら、Sさんかな? 今年はバラ色だ。“けれど心正しくないと災いがあります”うん? これってどんでん返しじゃないか。喜ばしておいて突き落とす。だって私は、心正しい女ではない。第一、心正しいって何? とてもあやふやじゃないか。理屈をこねたくなる。
 願望―首尾よく叶う。しかし油断すれば破れる―わかんないなあ。旅行―さわりなし。病用心―矛盾しているね。この御神籤って本当に大吉か? 今年の私の運勢は結局どうなるのかしら?
2012年の手帳(2012年1月11日)
 私は、新しい年に使う手帳を買う時、去年と違うデザインの物を求める。気分が変わっていい。なんだか新しい良いことが起こりそうな気がする…。
 今年の手帳は、見開き2ページに1カ月の日にちと曜日が書いてあるだけのシンプルなもの。薄く平べったい黒いビニール製。
 今年は身辺を簡素にする。物を持たない。体重も落とし、スリムになる。もちろんケーキは誕生日以外食べない。服なんて買わない。パーマもかけない。化粧品は、皮膚を保護するための最低限のものだけ。眉を剃っているので眉墨はいる。
 以上は、努力目標だから、どこかで私が大きなケーキを食べていても見逃してほしい。今流行りのつけまつげをくるりとつけていても何も言わないでもらいたい。欲望に負けたな、と思って哀れんでください! 
 黒ビニールの手帳にきれいな字でいろんなことをメモしていこうと思っている。特に中年以上の女性達の良い特性をみつけて書こうと思う。ずうずうしくて、おしゃべりで、よく食べ、寝る。そういうこともあるが、そうではないということを、今年一年「おんなの目」に書くために、女性達の美しいしぐさや逞しい行動をいっぱいメモしていきたい。新しい年のシンプルな手帳に。
新年(2012年1月8日)
 明けましておめでとうございます。皆様には、健やかに新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。今年は辰年。辰年の人の特長としては、正義感が強く信用できる、とあります。  私は無精者で無作法な者ですから、40年前から年賀状は1通も書きません。それでも毎年12通くらいいただきます。ありがたいことです。金銀を散りばめたものから、墨の濃淡一色の枯淡の境地のものまであります。
 「なんだか生きているのが大儀になりましたよ。毎日が同じことの繰り返し。お節の数の子を口の中で一つずつ潰していると、おかしくなってきて大笑いをしました。夫はその時、紅白の蒲鉾を食べていたのですが、彼も大笑い。まだ生きるのでしょうかね、と2人で初笑いです」。これは昨年の先輩のYさんからの年賀状です。Yさん夫婦のにこやかな写真が添えてありました。
 実は今年、Yさんにだけ、年賀状
を出しました。「本当に毎日同じ事の繰り返し。誰でもこうだろうか、と不思議に思うことがあります。皆、楽しそうに歩いていますものね。今年は冒険でもしてみませんか? 私がYさん夫婦を乗せたリヤカーを引いて日本一周でもしましょうか」
 皆様、こんな調子の私ですが、今年も宜しくお願いいたします。