| 稜線 (2010年2月26日) |
新しく山口市に仲間入りした阿東町は雪が多い。長門峡や十種ヶ峰の雪景色がすばらしい。山間部の集落を訪れると田畑の雪の上に野ウサギの足あとを見ることもめずらしくない。
雪上の足あとは謎に包まれた野生動物のくらしの一端を明らかに覗かせてくれる。
イタチやテンと異なって野ウサギの場合は跳ね歩きだから前足は交互に後足は二つ揃った足あとを見せる。山国育ちなので子供の頃から見てきた。後足はカンジキの役割をはたして山林深くよりむしろ人里に近い冬野菜や木の芽をねらっていることがよくわかる。
彼らは独立したテリトリーをもち他の個性の領域には侵入しない。行動範囲も数百平方メートルに及ぶから一カ所でたらふく食べることはない。
わが国の習俗として江戸の昔から獣肉は避けられていたが、将軍家の正月料理には味が淡泊なことから鳥肉と共に野ウサギも利用され、以来ウサギを数えるのに鳥と同じく一羽二羽となってきたのだといわれている。
ところで旧阿東町誌に―〈兎の竹焼〉が載っている。竹筒に野ウサギの肉とコンニャク、野菜をつめて調味料を加え焚火で焼いて食べる―と。
今も野趣に富む郷土食はあるだろうか。 (F)
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| 稜線 (2010年2月19日) |
先日、NHK大河ドラマ「龍馬伝」などで“旬”の高知市を訪ねた。同市は面積309・22平方キロ・人口約34万4千人で、国から中核市の指定も受けている。県人口の約4割が集中しており、分散型都市構造の山口県とは対照的。また、広大な行政区に県人口のわずか13%しか住んでいない山口市(面積1023・31平方キロ、人口19万9千人)と比べると、県庁所在地としての存在感も圧倒的だ。
名物の「日曜市」(高知市主催)が、特に印象的だった。これは、江戸時代の1690(元禄3)年から300年以上続いている街路市。高知城からまっすぐ延びる幹線「追手筋」の片側2車線を、約1・3キロ占拠して開かれている。地元からおよそ500の出店があり、新鮮な野菜や果物だけでなく、お菓子や植木、日用雑貨などの店も並ぶ。毎日曜日の開催で、毎回約1万5千人の市民や観光客でにぎわうのだという。05年の同市の調査によると、直接売り上げが年間16億円で、観光産業などへの波及も含めれば、年間104億9600万円もの経済効果があるそうだ。
日曜日のパークロードを一部片側通行にし、県内生産者が500のテントを並べて直接販売する様を想像してみた。山口市でもいけるのではないか? (K)
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| 稜線 (2010年2月12日) |
・雉のカツレツ
・フイッシュソ テー
・ミルクソース
・海老フライ
・オムレツ
○○様 十八日
これは山口市菜香亭に保存されていた明治時代のフスマから発見された下張りの一部で、同時代の西洋料理のメニューである。
1860(万延元)年に日米修好通商条約交換で派遣された咸臨丸使節団がサンフランシスコのホテルで供されたメニューの記録がある。
パン、氷水、ソップ(スープ)、鮭フライ、鶏の丸焼、牛肉煮、カウヒン(コーヒー)で、使節代表は「料理は美を尽し当地にては大馳走なれど日本人には塩気少く油の匂い強かれど空腹にて少々食したり」と記述している。
近代日本食文化年表によると、1869(明治2)年函館に外国料理茶屋が開店したのをはじめ1867(明治10)年までに横浜開陽亭、東京精養軒が相次いで開店する。当時海軍大臣西郷従道は「海軍士官は世界各国と交流のため洋食を経験すべし」と布令を出す。
精養軒で修業した斉藤幸兵衛が菜香亭に西洋料理部門を開設したのは長崎自由軒と共に1887(明治20)年(岩波明治西洋料理起源)のことでであった。(F)
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| 稜線 (2010年2月5日) |
プロ野球もキャンプインし、いよいよ球春間近。西京スタジアムでは、読売ジャイアンツ対千葉ロッテマリーンズのオープン戦も、3月5日に開催される。
ところがだ、県内で開催されるオープン戦・公式戦はこの一試合のみ。例年数試合を開催してきた横浜ベイスターズが、今年はやってこない。50(昭和25)年のプロ野球発足時に、前身の大洋ホエールズとして下関に誕生。本拠地として3年間を過ごして以来続いてきた縁が、とうとう途切れてしまうのか…。
球団および親会社の経営環境の厳しさや、地方球場での興行が採算に合わないこともよくわかる。しかしながら、生誕の地・山口県だけは特別扱いしてほしかった。
昨年、ベースボール・マガジン社から「ホエールズ&ベイスターズ60年の軌跡」という本が発売された。巻末を締めくくったのは「球団の歴史をたどる旅の終着点は、生誕の地・山口県下関市としたい」との同社・山口真一記者の思いによる取材記事だ。文中、当時を知る下関の女性は、ベイスターズの選手たちに「自分たちのルーツは下関なんだと、心の隅っこでいいから覚えていてほしい。それだけで下関の人はうれしいんです」と呼びかけている。思いが届かず、本当に残念だ。(K) |