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稜線

稜線 (2010年5月28日)
 春の天候不順で例年より遅れてゲンジボタルがようやく山口の五月闇を飛び交うようになった。
 文化庁文化財保護記念課によると、山口市椹野川がゲンジボタルの発生地として国の天然記念物に仮指定をうけたのは1932(昭和7)年で、3年後の1935(昭和10)年12月14日に愛知県岡崎市矢作川支流竜泉寺川のゲンジボタルと共に、日本ではじめて国の天然記念物指定となった。下関市豊田地区木屋川のゲンジボタルが国指定になったのは戦後の1957(昭和32)年のことである。
 ―山口椹野川のホタルは本流の鰐石橋付近や出合河原を中心に湯田温泉に至る一帯に多く発生し、古くから有名だったが農薬や河川工事で激減したので、市内一の坂川では1971(昭和46)年から県農業試験場による幼虫保護増殖が行われている―とこれは日本自然保護協会会報(畑正憲)の記録である。
 いまや市内では一の坂川はもちろん、杖坂川・荒谷川を含む宮野川、仁保川上流、鳳翩山麓を源流とする吉敷川、それに小郡地区の四十八瀬川とそれぞれにホタル川の環境維持がされホタルの夕べも持たれている。
 ホタルマップを作成しホタルのまち山口を全国発信したい。(F)
稜線 (2010年5月21日)
 「山口県の小企業の景況は、先行き不透明感が続いている」。日本政策金融公庫が県内約150の中小企業を調査したところ、昨年12月も今年3月も、このような判断となった。▲53・6(前期マイナス1・7)だった10〜12月実績「業況判断」DI(「良い」から「悪い」を引いた企業割合)が、1〜3月実績では▲58・0と4・4ポイント下がった。そして4〜6月は、さらに3・9ポイントのマイナスとなる▲61・9の見通しだ。全国平均が▲56・4、中国地区平均が▲59・7でもあり、比較すると県内小企業の苦境ぶりが際だつ。
 一方、財務省山口財務事務所が4月にまとめた「県内の経済情勢」の総括判断は「厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる」だった。しかしながら「個人消費」は弱く「設備投資」は前年度を下回り「雇用情勢」は厳しい。一部大企業の「生産活動」「企業収益」などが「持ち直し」の表現につながったようだ。
 外需を取り込める企業は多少の明るさが見えてきたが、内需、それも山口の人・企業を相手に商売する地元中小企業には、当面厳しい日々が続く。とはいえ「座して死を待つ」わけにはいかない。頭も体もフル回転させ、なんとか打開策を見つけたい。    (K)
稜線 (2010年5月14日)
 4・5月は一年中で潮の干満の差がひらく時期で、とくに遠浅の海では干潮時に砂泥質の海底が遠くまで現れ、俳句の季語にも潮干潟、潮干狩があるように、九州の有明海や東海の三河湾・伊勢湾が有名だが山口湾も椹野川河口に干潟がある。去る5月1日、山口湾の干潟で、河口・干潟の自然再生協議会の会員により干潟を掘り返す作業が行われた。
 同協議会では干潟の再生を目指して2005年から毎年干潟の砂泥地を耕すことによって多くの干潟生物の生育環境を回復させることに努力をしている。
 同協議会の話によると最近では以前に比べアサリなどの数も年々増加し、よみがえる干潟となりつつあるという。
 椹野川河口のごとく河川水の注ぐ汽水域は海藻や魚介類が豊富で、その自然は人間と生き物たちが交錯して保ってきた天与の交流圏なのだ。
 ふり返れば、人・物・文化の接点として河口の果たした遠い歴史がある。街道や鉄道の発達する以前を考えると、山口盆地に至る動脈は海運であり河川舟運であった。
 秋穂・阿知須の海域に遣明船、北前船が果たした航跡は長い。
 山口湾干潟にシオマネキがおいでおいでをする夏が近い。(F)
稜線 (2010年5月7日)
 いささか古い話で恐縮だが、どうしても書いておきたい。4月25日に投開票された、山口市議会議員選挙における投票率のことだ。
 結果は、選管予想の60%を大幅に下回る、過去最低の55.98%だった。100人中44人が、市全域で6万8209人もの有権者が、投票を放棄したのだ。最も低かった地区は、小郡の40.50%。転勤族にとっては「山口市がどうなろうが関係ない」ということか?
 過去の意識調査によると、投票しない理由には「投票しても政治は良くならない」「有権者の政治に対する不満、不信のあらわれ」「若い人の政治的無関心」「政治よりも自分の生活を中心に考える」「用事があった」「政治に期待していない」などがあげられている。あまりに人ごとで、言葉を失ってしまう。
 今回は、一地方議会の議員選挙だが、山口県の県都の行方を占う選挙でもあった。前にも小欄で書いたのだが、選挙権の「権利」を放棄してしまえば、政治にもの申す「権利」まで放棄したと見なされても仕方がないと思う。まずは投票。その上で、言いたいことがあれば、選挙で選ばれた代表にぶつければいい。投票しなかった人たちには、次の選挙まで黙っておいてもらおう。(K)