結婚式は2人が結婚を誓い合い、披露宴は結婚を周囲にお披露目するもの。その前に「結婚の約束をしました」と公にするのが日本の伝統儀式、「結納」だ。その歴史は4世紀頃までさかのぼり、宮中儀礼の「納采の儀」として受け継がれ、後に庶民の間に広がった。
結納品を取り扱う小椋一象堂(山口市中市町3)の小椋保彦さんは「結納は、大切に育てたお嬢様を他家に嫁がせる親御さんへ、感謝を伝える場」と話す。また、結婚は本人同士だけでなく「家と家とが結びつく」ことから、記念品を納め合い、親戚になる両家の親睦を深める意味もある。
最近は、両家を取り持つ仲人を立てない場合がほとんどだが、「結納はしたい」という人も多い。「両家の顔合わせも兼ねた食事会を開き、その時に結納も一緒に行うスタイルも増えている。結納品も正式な9品でなく、時代に合わせて5品などコンパクトなものも増え、選択肢が広がっている」(小椋さん)。
結納品は、大きく分けて関東式と関西式がある。結納品やしきたりは地域色も強いので、互いの出身地や、どちらに合わせるかを確認しながら準備を進めよう
結納や結婚衣装を取り扱う近江屋(山口市道場門前1)の北條榮太郎さんは、「きちんと結納や結婚式を行ったカップルの方が、離婚率が低い」と語る。実際、離婚歴がある人のうち、結婚式を挙げた人は13.4%、何もしなかった人は82.4%という統計もある(アニヴェルセル)。
結納や両家の食事会などを行うことで、結婚前にそれぞれの家族のつながりや家風もわかり、本人同士も結婚に向けて気持ちを新たにすることができるだろう。この特集ページも参考に、家族となるために大切な節目ともいえる結納から、結婚の準備を始めてみては。