暑い、暑い。午後二時バス停に立っていると、上から燃える爆弾のような太陽、下から溶け出しそうなアスファルト。そこから立ち上る熱射、横から走り去る車から吐き出される熱風、が襲って来る。曲がり角の向こうにバスを見つけると嬉しくなって、乗ります!と手を振る。涼しい車内は極楽極楽。
村 田中冬二
炎天を/麦打ちしてゐる村/娘たちよ/夜になつたら町へ氷水をたべにゆかう
昭和四年頃の作品である。当時の七月の平均気温は、26.1度。氷水を食べるのを夜になるまで待てるのだ。今なら、昼間に二杯、夜にも一杯食べてもまだ熱せられた身体は冷めない。寝られない熱帯夜。
昭和五十一年発行の「田中冬二詩集・サングラスの蕪村」から、避暑地軽井沢の夏の風景をどうぞ。
軽井沢のテニスコート/夏の軽井沢のテニスコートには撒水の要はない/夜半霧が下りてテニスコートをしっとり濡らすからだ
私は軽井沢を知らない。テレビで見ると夏の軽井沢は人で埋まっている。現在でも夜には霧が下りて涼しいのかな? サングラスといえば田布施町在住の久光良一さんの作。
老年という反抗期をくろいサングラス
秋はいつ来るのかな?