現在地への建て替えが進められている山口市役所新庁舎の第1期工事(新本庁舎棟整備)が3月に終わり、新本庁舎棟での業務が5月7日に始まった。6月からは第2期工事がスタート。旧庁舎棟は解体され、地下1階・地上2階建ての市民交流棟、約300台分の新立体駐車場、広場が整備される。全体の完成は、2028年8月の予定だ。
解体される旧庁舎棟(山口市亀山町2)は、元々は山口大教育学部の校舎として使われていた。もっとも古い部分は1961年の建築で、同大の吉田キャンパス(山口市平川)への移転(1972年)により、敷地と校舎を山口市が取得。1975年から50年間市庁舎として使用されてきた。
そこで、山口大関係者や芸術活動に取り組む人たちが、「旧市庁舎が解体されるまでの数週間、市民による有効活用ができないか」と考え、昨年7月に「さようなら旧市庁舎プロジェクト実行委員会」を立ち上げた。以降、話し合いや準備を重ね、「さようなら旧市庁舎プロジェクト ハシヲワタス」と銘打ち、さまざまなイベントを開催することに。期間は、5月23日(金)から6月1日(日)まで。時間は各日正午から午後6時(最終日は5時)で、入場は無料。
実行委員会を構成するのは、山口大、山口県立大、秋吉台国際芸術村、YCAM(山口情報芸術センター)、中原中也記念館、YICA(山口現代芸術研究所)、山口大同窓会、山口大教育学部同窓会、街なか大学実行委員会、Do a Front、山口市有機農業推進協議会。サンデー山口も協力団体として参画しており、展示も行う。
催しのジャンルは①現代アートの展覧会②動体保存としてのアーカイブ③合唱・コンサート④カフェプロジェクト⑤その他、の5種類。
「山口市のアートシーンが旧市庁舎に一堂に会する」とする①に出展するのは、山口大教育学部美術教育教室(現役&卒業生)、秋吉台国際芸術村、YCAM、YICA、ギャラリーシマダ、ギャラリーナカノ、三本松画廊、Do a front、田中米吉アトリエの9施設・団体。
②は「過去から・今ここ・そして未来へ」がサブテーマ。山口大の昔の写真展示や映画上映、やまぐち街なか大学による市役所周辺の「街のよそおい」展示、古い市報、新本庁舎建築工事のドローン撮影動画、中原中也の師範学校附属小時代の資料展示などがされる。
③は、旧市庁舎内さまざまな場所で開かれる。山口大混声合唱団OB・OGと現役生による合唱コンサート(山口大同窓会主催)は、5月24日(土)、同25日(日)、同31日(土)の3回実施。山口芸術短大同窓会しょうびは6月1日に、リコーダー、合唱・ピアノ、アンサンブルの演奏を、3団体・3会場で行う。同日には、井出崎優と山口大吹奏楽部による演奏会(秋吉台国際芸術村主催)もある。
「ちょっとひといきお茶でもいかが?」と呼び掛ける④には「むすびカフェ」が全期間、「なごみカフェ」(山口大教育学部附属特別支援学校)が5月23日、「凰月」が同24日・25日・31日・6月1日、「いせの森」が同26日(月)に出店する。また、「おむすびワークショップ」も、3回開催される(要予約)。
⑤には、第30回県障害者芸術文化祭入選作品の展示、草月流いけばな山蛍の展示(5月30日~6月1日)、工作ワークショップ(要予約)などがある。
また、県立美術館など近隣施設でも、関連する8企画が実施される。
「この建物を契機として過去を振り返り、現在を確認し、未来につなげてゆく市民参加による文化・芸術のイベントになることを目的としている」と主催者。
初日の正午からはオープニングセレモニー、最終日の午後5時からは「閉庁セレモニー」も開かれる。
催しの詳細や最新情報は、ウェブサイト(https://hashiwowatasu.yica1998.com/ )やインスタグラム等で発信されている。
準備号から全号を展示 サンデー山口
サンデー山口は、1978年(昭和53年)8月の創刊準備号から現在まで、約7750号分の紙面をすべて展示。実際の紙面を1年、もしくは半年単位でまとめた冊子の「綴じ」を計66冊並べる。また、PDF化した紙面画像を見ることのできるノートPCを6台設置。
サンデー山口紙面「綴じ」
約47年間にわたるさまざまな記事・広告からは、山口市周辺の昭和・平成・令和の「空気感」が伝わってくる。各号1部しかないため、「閲覧は譲り合いながらお願いしたい。さらには、会場に集った人たちで、同じ紙面を見ながら昔話に花を咲かせてもらえたら」と開作真人社長。さらに、いくつかの記事はポスターサイズに拡大して、壁面展示する予定だ。
展示会場は、2階の市長応接室および市長室。会場内には、自身が見つけたおすすめ記事を書き込んでもらうコーナーも設け、他の来場者の参考にもしてもらう。