「山口でなかなか上映される機会のない良質な単館系新作映画を、自分たちの手で上映・観賞する」ことを目的に活動している「西京シネクラブ」(大久保雅子代表)は、7月26日(土)に「Playground/校庭」(2021年、ベルギー)を上映する。会場は山口市民会館(山口市中央2)小ホールで、上映時間は午前10時半、午後2時、7時からの3回。
主人公は、7歳の少女ノラ(マヤ・ヴァンダービーク)。小学校に入学した彼女は人見知りしがちで、友だちがひとりもいない。校内に居場所がなかったノラだが、同じクラスの女の子二人と仲良しに。だが、三つ年上の兄アベル(ガンター・デュレ)がイジメられている現場を目の当たりにし、ショックを受けてしまう。優しい兄が大好きなノラは助けたいと願うが、なぜかアベルは「誰にも言うな」「そばに来るな」と命じてくる。その後もイジメは繰り返され、一方的にやられっぱなしのアベルの気持ちが理解できないノラは、やり場のない寂しさと苦しみを募らせていく。そして唯一の理解者だった担任の先生が学校を去り、友だちにのけ者にされて再びひとりぼっちになったノラは、ある日、校庭で衝撃的な光景を目撃するのだった…。
ベルギーの新鋭ローラ・ワンデル監督が鮮烈な長編デビューを飾った本作は、第74回カンヌ国際映画祭(2021年)の「ある視点」部門に出品され、国際批評家連盟賞を受けた。さらに、2021年のBFIロンドン映画祭でサザーランド賞(新人監督賞)に輝くなど、世界中で29の賞を獲得している。そして、第94回米アカデミー賞(2022年)国際長編映画賞のショートリスト(15の候補作品リスト)にも選出された(受賞したのは濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」)。
「本作では、息の詰まるような現代の社会的恐怖や、登場人物の内面的変化を通して周囲に溶け込むことの難しさを描きたいと思った。この物語を通じ、恐怖がいかに私たちの世界を見る目に影響を与えるのか、そして信念がいかに現実を変えるのかを示せたら」とワンデル監督。
チケットは、当日会場で販売。料金は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。電話予約(TEL083-928-2688)すれば、一般料金のみ1500円に割り引きされる。