山口市中心部の道場門前は、江戸時代は石州街道が通り、また肥中街道の起終点となるなど賑わいをみせていました。
では、「道場門前」の地名の由来をご存じでしょうか。何かの武道場? それとも寺院? 正解は、明治期までこの地にあった「善福寺」というお寺です。
善福寺は山口道場と呼ばれた時宗寺院で、正応元年(1288)の創建と伝えられ、大内氏とも深い関係がありました。
この善福寺の古文書は、元長州藩士で明治期に宮内省の要職を歴任し、能書家としても知られる杉孫七郎が蒐集した大内氏の文書集「多々良の麻佐古」(たたらのまさご)に収載されています。「多々良の麻佐古」は当館ウェブサイト内のバーチャル収蔵庫で高画質画像をご覧いただけます。また、当館の研究報告にも詳しい解説を載せています。この機会に大内氏歴代文書と合わせて中世文書の魅力をご堪能ください。
山口県立山口博物館 歴史担当学芸員 山田 稔