長年循環バスを利用していると、馴染みの人ができる。一週間に数度同じ人と同じ時間にバス停で出会うといつの間にか世間話をするようになる。「スポーツクラブに通っているんです」と言った。背筋の伸びたスラリとした同じ高齢者。秋になってその人とは出会わなくなった。何かあって生活のリズムが変わったのだろうか。心配だ。
八時のバスに乗れば黒鞄を下げた商店街に通勤する女性をいつも見るし、十時では、押し車を持って乗り込む高齢の女性に頻繁に出会う。
冬のコートを初めて着た日、午後四時過ぎのバスで久しぶりに少女と出会った。少女は大きくなっていた。
最初は小学校に入学した日だ。七時のバスに乗ったら、Bバス停から少女がお母さんに見送られて乗って来た。ランドセルを背に目を見開き緊張した顔をしていた。お母さんも心配そうにいつまでも手を振っていた。数か月して出会ったら、少女はひとりで軽やかに乗って来た。見送りのお母さんはいない。それから時々朝や帰りのバスで出会うようになった。そして、久方ぶりの今日、背も伸び、表情も引き締まり、行動も落ち着いて自信に溢れていた。運転手さんに「ありがとうございました」と挨拶して下車。可愛い少女、風邪ひかないでね。又会いましょう。