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札の辻・21

札の辻・21 No.612(2012年1月28日)
 今月上旬、新聞に早くも顔をのぞかせたフキノトウが写真掲載され、この寒さにとおどろいたが先日わが家に近い仁保川の川土手にも太筆のごときフキノトウを見つけたと近くの友人が届けてくれ季節の鼓動の早さを身近に感じた。
 まだ積雪だよりのつづくうちから土を割って若芽をもちあげるフキノトウは、待ちわびる春への季節感を昂めながら雪国であるほど切実な体感ですらある。
 降り積もった雪のすきまから僅かな土を持ち上げる生命力に寄せる雪国の人びとの感性には祈りにも通じるものがあることだろう。わけても東日本大震災地域一帯では薄いミドリ色にも暖かい格別の想いを重ねる。
 農文協版福島の食事によれば「雪解けの時期に若い芽をのぞかせるフキノトウを摘みとり、水洗いして熱湯をくぐらせたのちはしばらく水につけ苦みやアク抜きをしたあと、よく水気を切って細かく刻みミソ汁や和え物にして雪国の遅い春を待ちわびる」とあった。
 やはり福島の阿武隈山地をふるさとに持つ詩人草野心平は
 =猫柳が咲き土手の斑雪がだんだんとける頃に蕗の薹がふっくら開く。雪国の少女の霜焼けの頬を思わせる寒期との戦いから生れた二月の色である。日本酒の肴にあの独得の苦さが良い=(著酒味酒菜)より。
 蕗のとうことしもこ
 こに蕗のとう 山頭火
(鱧)

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