この本は、哺乳類生態学研究者の伊澤さんが、「ナオスケ」と名づけたノラネコの行動を丸一日観察し、それをまとめたものです。
10時、石の上で眠っているナオスケを発見。目をさますまでに待つこと40分。それからナオスケは、しばらくのびをしたり毛づくろいをしたりして、11時にやっと歩き出しました。
ここからいよいよ追跡開始。他のネコに出会ったらどんな行動をとるか、つめとぎやふんの始末のしかたなど、見たことはすべてノートに記録していきます。
追跡は夜も続きます。白黒のブチのナオスケを暗闇の中で見失わないようにするのは、なかなか大変。
あちこち歩き回り落ち着ける場所を見つけたナオスケは、22時30分、ようやく眠りにつきました。伊澤さんも近くで仮眠。
翌朝、目覚めたナオスケが向かったのは、きのうすわっていた石の上でした。
観察結果をまとめた表と地図を見ると、安心して眠れる場所を探しながら一日を過ごしている行動パターンがよくわかります。ネコなりのルールに従い、居心地のよい休み場所を見つけてくらしているのですね。
福音館書店
文:伊澤 雅子
絵:平出 衛
ぶどうの木代表 中村 佳恵