近頃なんかイライラするんだよね。自分に。スーパーの自動支払機で魚のパックがうまくスキャンできない。横にしたり縦にしたり、イライラ。バーコードが捻じれているのだ。引っ張って整えて、やっとピーと間抜けな音がして認識。
なによ、今はもうないけれど、八百屋のおばさんなんかすぐに算盤はじいて計算してくれたわよ。「今日はきれいだね」なんてお愛想いいながら。あなたなんてなによ、ピーだなんて。それも私がバーコードをきちんと直してあげないとわからないんだから。
あっ、忘れた。「福祉優待バス乗車証」。昨日着た服のポケットに入れたままだ。今日は優待なし。ちゃんと若者料金払いましょう。イライラする。どこでどうしたか、雨傘に三センチ穴が開いている。嘘! 傘は、忘れてもいいように名前と電話番号を書いて柄に貼り付けている。これで何度救われたことか。穴が開くとは想定外だ。イライラする。自分の行動に。
近頃の推理小説は何度読み返しても理解できない。電子機器を駆使してのアリバイ証明。これがいけない。遠隔操作できるなら誰でも殺せる。イライラする。作者に。
松本清張の推理小説には、感動で心が震える。情深く、理解できない所はない。イライラなんかしない。