2025年7月判断の「山口県内経済情勢」について財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、「県内経済は、緩やかに回復しつつある」と総括判断。2023年7月以降、9期連続で前回判断を据え置いた。
企業へのヒアリングや各種経済指標をベースに3カ月ごとに発表しており、今回の要点は「『個人消費』は、回復しつつある。『生産活動』は、持ち直しつつある。『雇用情勢』は、緩やかに改善しつつある」とした。さらに、2025年度の「設備投資」は前年度を上回り、同じく「企業収益」は減益見込み。さらに「住宅建設」「輸出」とも前年を下回る見込みだ。
そして、8月以降の「先行き」については「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、物価上昇の継続、米国の通商政策、金融資本市場の変動等の影響に注意する必要がある」との判断を示した。
企業の声
調査対象企業からは、
「米の価格は依然として高値で推移しているが、買い控えもなくよく売れている。6月中旬から気温が上昇したことで、冷たい飲料や麺類などの夏物商材の売上が伸びている」(スーパー)
「価格は高いものの、インターネットで評価の高い化粧品が売れている。一方で、節約志向の高まりからまとめ買いやポイントデーの活用などより安く食料品を求める人が増えており、普段は節約するが必要と判断した時にはしっかりお金を使うメリハリ消費の傾向が強まっていると感じる」(ドラッグストア)
「チルド弁当や総菜など商品の品揃えを増やしたことで消費者の購買意欲が高まり、売れ行きがよい」(コンビニ)
「近辺で新築住宅が増えており、ガーデニングやアウトドア用品などを収納する物置の販売が伸びている」(ホームセンター)
「スマートフォンは携帯電話各社の乗り換えキャンペーンの効果により、価格は高くても売れている」(家電大型専門店)
「新型車が発売されたことで軽乗用車の販売台数が増加している」(自動車販売店)
「4月から開催されている大阪・関西万博を訪れるツアーが個人、団体ともに好調であるなど、旺盛な旅行需要が続いている」(旅行代理店)
「北米で価格競争が激しい中、一部車種の販売が落ち込み、生産量が減少している」(輸送機械)
「公共事業の案件の減少や中国の不動産市場が回復していない影響を受け、国内外のインフラ向けで需要が低迷している」(化学)
「インバウンドが増加するなど観光需要の高まりにより、レストランなどの外食産業向け業務用厨房の受注が堅調」(鉄鋼)
「脱炭素の流れを受け、環境規制に対応した船舶の更新需要が高まっており、船用機械の受注が堅調」(汎用機械)
「店舗では従業員不足が常態化しており、アルバイトやパートを募集しても応募がないため、単発、短時間で働くスポットワーカーを活用している。」(小売)
「人手不足に対応するために、セルフレジや発注用タブレットなどの導入によって省人化に取り組む事業所が増えている」(公的機関)
「カーボンニュートラルの実現に向けて関連設備を新設するなどの設備投資を進めている。」(化学)
「前年度は大型の新設設備の投資を行ったが、今年度は設備の維持更新のみ」(運輸・郵便)
などの声が聞かれた。