「近頃、君の書くものは痩せている」とK氏が言った。考えてみたまえ、と三冊の本を差し出した。
【気候変動、コロナ禍…。文明崩壊の危機。唯一の解決策は潤沢な脱成長経済だ】(人新世の「資本論」・斎藤幸平)。前述は表紙に記された言葉だ。
暑い。田が地割れするほどの渇水。雨が降れば洪水。熱中症患者は増える一方だ。気候変動は実感する。文明崩壊は進んでいるのか?
【その未来は、本書を読んだあなたが、(略)決断をするかどうかにかかっている】とある。心して読もう。
【最近は、飼い犬が散歩中、他の犬と出会っても全く無反応なのが増えてきているんです。人の中で育ちくらしていて犬同士のコミュニケーションが出来ないらしいんですよ】(心臓に毛が生えている理由・米原万里)。へぇー、と驚いた。著者の博識と切れの良い啖呵は暑さを忘れさせ、すぐに読了。弱気の私の心臓に毛が一本くらい生えたかな?
【わたしはこのごろ、三十代より四十代、四十代より五十代の女性の方がより美しいと信じるようになった】(ま、いいか・浅田次郎)。六十、七十、八十、九十、と年代を足そう。美は成熟にある。
統一性のない三冊の本のプレゼント。これで非才の私が太るのか?