1404年、大内盛見によって建立された洞春寺は、元々は国清寺と言い、その後常栄寺となり、明治期に毛利元就の菩提寺となってからは洞春寺と名を改めた。その入り口を固めているのがこの山門で、国清寺創建当時のものと考えられている。構造はシンプルな四脚門で、彫刻などの飾りを排して力強く雄健であり、禅風山門の特徴がよく表われている。同時に檜皮葺の屋根の優美さも感じられ、重要文化財に指定されている。屋根は2020年に30数年振りに葺き替えられたので実に美しい。
大内盛見というと五重塔を思い出すが、屋根を檜皮で葺くのは彼の好みだったのかも知れない。その盛見の墓は洞春寺の墓地の中にある。説明看板がなければ見落としそうで、これが大内氏の当主の墓とはとても思えないほどささやかなものである。同じく洞春寺の裏手にある井上馨の分霊塔の大きさとは比ぶべくもない。
文・イラスト=古谷眞之助