企画展「大村益次郎生誕200年記念 益次郎をめぐる人々」が、十朋亭維新館(山口市下竪小路、TEL083-902-1688)で開かれている。12月22日(月)まで。観覧料は、大人200円、小中学生100円。火曜は休館。
周防国鋳銭司村(現山口市鋳銭司地域)に村医者の息子として生まれた大村益次郎(1825-1869年)は、家業を継ぐために医学を学ぶ中で西洋医学に出会い、その課程で培われた語学力によって洋書(蘭書)の翻訳者として世に出、そこで得た軍事知識によって西洋兵学の専門家として頭角を現していった。そして、幕府軍と戦った四境戦争や戊辰戦争の司令官を経て、明治政府で兵制の近代化に取り組む中、それに反対する不平士族の襲撃を受け、後日亡くなった。
この企画展では、益次郎と人生の節目に交流のあった人々との関係を軸に、「出生と家族」「恩師・学友」「世に出る~宇和島藩と幕府への出仕」「鳩居堂と門下生たち」「長州仕官と維新の動乱」「最期」の順に、益次郎の生涯をたどる。11月10日(月)までが前期で、11月12日(水)からは後期。展示品は、前後期で一部入れ替えられる。
桂小五郎(木戸孝允)が不退転の決意を村田蔵六(大村益次郎)に伝えた手紙「村田蔵六宛桂小五郎書簡」(前期展示)からは、木戸の益次郎への厚い信頼を読み取ることができる。また、格子状の模様が入った着物「大村益次郎着用熨斗目(のしめ)」(後期展示)には、大村家の家紋である丸にキキョウ紋の刺しゅうが入っており、百姓身分出身の益次郎が武士身分へと立身していったことが伝わる。他にも、「凡例掲紙」(前期展示)や「塾則」などが展示。
同館学芸員による、無料かつ事前申し込み不要の「ギャラリートーク」も、12月7日(日)の午後1時半から45分程度開かれる。
関連イベント「大村益次郎ゆかりの地フォトラリー」も開催中。まず、「大村益次郎生誕宅跡」「大村益次郎之像」「普門寺」「旧山口藩庁門」「山口明倫館兵学寮跡」「錦の御旗製作所跡」の6カ所のうち2カ所を撮影。さらに、必須2カ所の「十朋亭維新館」「鋳銭司郷土館」を、決められた構図で撮影する。撮影した4枚の写真を、必須2カ所のどちらかで見せると、参加特典「大村益次郎オリジナルイラストコースター」がもらえる。そして、8カ所すべての写真を十朋亭維新館で見せると、オリジナルノベルティもプレゼントされる。
同館の学芸員、立石智章さんは「本展では、益次郎宛てに出された手紙・来翰(らいかん)を中心に展示している。彼が村医者の子から国家の兵制を担う指導者へと変貌を遂げていくなかで、多くの人々から影響を受け、また影響を与えていった様子が伝わってくる。生誕200年を機に、益次郎本人はもちろん、周りの人々にも関心を持ってもらえたら」と鑑賞を呼び掛けている。
また、11月9日(日)には「大殿ふるさとまつり」への参加イベントとして「奇兵隊射的チャレンジ!」も午前10時から午後3時まで開催。3発100円で、的を倒せばお菓子がもらえる。