「これ なあに」
見開き右ページいっぱいにあるのは、黒い線で描かれた四重丸。そのまんなかでは、ちょっと変形した二つのだ円がくっつきあっておさまっています。
ページをめくると色が加わり、前ページの絵がながねぎの断面図だとわかります。
この本は、断面図のシルエットを見て、それが何の野菜なのか想像しながら読む絵本です。おはなし会の定番絵本の一冊で、子どもたちはいろんな野菜の名まえをこたえてくれます。
表紙に描かれているかぼちゃや、とんがりぼうしのような形のたけのこは比較的簡単。ふだんよく食べる野菜が、意外とわかりにくい。でも絵の中にあるヒントに気付いて、次々とこたえる子もいます。
野菜以外のものに空想が広がっていくことも。キャベツの断面図を見て「千手観音!」という答えがかえってきたときには、びっくりしました。
みずみずしく描かれた野菜の絵を見ながら「うちにキュウリをうえてるよ」「きのうの晩に、たけのこ食べた」と、会話がどんどん広がっていく作品です。
福音館書店
作・絵:きうち かつ
ぶどうの木代表 中村 佳恵