先日、リゾートホテルに一泊した。Aさんに格安で宿泊券を手に入れたからと誘われた。目玉は、夕陽の見える露天風呂だと言う。私は風呂は好きではない。服の脱ぎ着も面倒だし、身体を洗うのも大儀。もちろん洗髪もできるだけしない。だから温泉には行かない。人前で裸になることはここ何十年ない。嫌だ。でも、格安とホテルのバイキングに魅かれて同伴した。
入るしかない・・・。脱衣場でさっさとつるりと裸になる女達を横目に上品に脱ぐにはどうしたらいいのか迷った。タオル一枚で隠して走った。
夕陽は正面から来た。全員海側に整列して、黙って雲間から射す光を見つめた。綺麗で荘厳な感じもしたが、私はすぐにのぼせた。うっとりと眺める女たちを後目にすぐに上がった。誰もいない脱衣所で浴衣を肩にかけると、友人の詩を思いだした。
裸の手品 ささき颯
あきこ叔母と/初めて温泉に行った/湯から上がったら/露わに見せない/タオルを当てていた/ほてりを冷ますため/床几に腰かけて私としゃべっていた/落ちついたころ/腰掛けたままで下穿きを付けて/身じまいを整え/タオルをさっとはずした/あざかやな手の捌き/几帳面できれい好きな/叔母の手品だった
私もいつか手品を使えるかしら?