暑かった夏(何度でも言う。暑かった、暑かった!) が終わると爽やかな秋。夏と体力の消耗が違うのがはっきりとわかる。散歩でもしようか、という気分にもなる。三十分ばかり町内を歩いた。田圃の畔に花火のような赤い彼岸花がずらりと咲いて、鳥の鳴き声がする。高く澄んだ声で歌う。鳥に話しかけたいけれど名前がわからない。「君、上手だね」。両手を伸ばして深呼吸する。ああ、涼しい秋が来た。本当に地球は回転しているんだなぁ。でもすぐに寒い冬が来るぞ、と思うともう不安になる。背が丸くなる。
『秋も更け十一月になると シベリヤから北陸の越中加賀越前の国々へ ツグミ シロハラ カシラダカ イソヒヨドリの群が日本海を渡って来る その頃になると時雨れる日が多く やがて十二月になると雨は霙になる』(田中冬二詩集)。(前述した鳥たちは山口県立きらら浜自然観察公園や県内各地で見られる)
家の近くのゴミ集積場に二羽のカラスが常駐している。夫婦かしら?収集日になると、ゴミに網をかけていても器用に食べ物をせせりだして汚す。「カラス君、いたずらを止めて虫をお食べ」。カラスは知らん顔。カァー、カァー鳴くからカラスでしょ。個別の名前があるのかしら?
十二月の霙まで散歩しよう。