山口商工会議所では、2025年(令和7年)11月より、河野康志会頭、椙山一生副会頭、臼渕厚史副会頭、高橋克行副会頭、田原文栄副会頭による新体制での活動が始まりました。任期は、2028年(令和10年)10月31日までの3年間です。新体制となって2カ月、正副会頭に今後の運営方針や会議所活動などについて語り合いました。
【座談会出席者】
- 河野康志会頭(マルニ代表取締役社長)
- 椙山一生副会頭(萩山口信用金庫理事長)
- 臼渕厚史副会頭(山口グランドホテル代表取締役社長)
- 高橋克行副会頭(高橋克行税理士事務所代表)
- 田原文栄副会頭(豆子郎代表取締役社長)
今後の運営方針・会議所活動を語り合う
河野 本日は、新役員の皆さんにご就任の抱負や意気込みを伺いながら、今後の運営方針や会議所活動についてお話していきたいと思います。
私は2016年11月に会頭を拝命し、この3期9年間、皆さまとともに駆け抜けてまいりました。特に印象深いのは、2期目の3年間です。新型コロナウイルス感染症によって世界がパンデミックに陥り、山口市の経済活動も厳しい局面に立たされました。経営のかじ取りに苦慮される事業者の方々に対し、会議所として可能な限りの支援メニューを整え、経営支援と経済対策に奔走しました。
3期目の3年間はコロナ禍が明け、経済が正常化へ向かう中で、急激な物価高、人件費高騰、人手不足が押し寄せました。実質賃金の目減りが消費の低迷につながり、厳しい状況に。物価高の主因である「行き過ぎた円安」は、地方の一都市で対策できるものではありませんが、行政と連携し、課題解決に少しでも近づけるよう、伴走支援を続けました。
一昨年から策定を進めてきた「やまぐち魅力向上プラン」が昨年6月に完成し、大きな節目を迎えたことから、当初は3期をもって退任するつもりでした。しかし、次期会頭を選ぶ詮衡委員会より強い要請を受け、熟考の末、これが最後の期と覚悟を決め、4期目をお引き受けしました。
4期目にあたっては、これまで以上に若い世代や新しい発想を積極的に取り入れ、交流の機会を増やしながら、皆さまと力を合わせ、組織の柔軟性と活力向上に努めてまいります。部会や委員会の運営においても、新しい人材の積極登用を進め、会議所に新しい風を呼び込みたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。
河野康志会頭
椙山 私は前期から副会頭を務めさせていただいており、今期で2期目になります。1期目の3年間を思い返しますと、あっという間のことだったと感じます。私は信用金庫に所属しておりますので、主に金融面で中小企業の皆さまとお付き合いがあるのですが、商工会議所の活動を見ると金融に限らず様々な側面で中小企業の下支えをしているということを学びました。会合や部会活動などを通じて多くの方と知り合うこともでき、このような出会いや経験は私の財産になっています。若手の考えや新しい意見をしっかりとくみ取り、様々な活動に全力を尽くして地域に還元していけたらと思っています。
椙山一生副会頭
臼渕 椙山副会頭と同様に、前期から副会頭を務めさせていただいております。前期の3年間では、副会頭就任前から委員長として関わっていた新山口エリアのにぎわい創出とコミュニティの復活を中心に様々な取り組みを展開してきました。
また、観光サービス部会も担当しており、ニューヨーク・タイムズ紙の「2024年に行くべき52カ所」に山口市が選ばれたことから、山口市の魅力発信に関わる活動も展開できたのではないかと思います。
「やまぐち魅力向上プラン」が昨年6月にできましたが、山口都市核と小郡都市核で実現を目指すコンパクト性をさらにどうしていくかということが副会頭2期目の新たなミッションだと捉えています。
臼渕厚史副会頭
河野 それでは、今期から新たに役員に就かれたお二方に、ご就任に当たっての思いや抱負を伺います。
高橋 商工会議所活動は、これまで監事として包括的に見る立場にありました。これからは副会頭として、二つの部会と、今期から始まった経済界・行政関係者を中心に立場や業種を超えた出会いの場を提供する「やまぐちコネクト」を担当。より深く皆さまと関係を築きながら、活性化につなげていけたら。
山口市ふるさとまつり実行委員会は地域密着で、「やまぐちコネクト」は産学官一体で、それぞれ別の角度から「いかに山口市を盛り上げていくか」を一緒に考えていく場だと捉えています。
東京でのサラリーマン時代の経験と、山口に帰ってきてから15年間の税理士活動で、様々な業種の方と関わってきた経験をフルに生かし、皆さまと一緒に活動できたらと思っています。
高橋克行副会頭
田原 今期から就任し、委員会や部会を担当するほか、新たに設置された「山口商工会議所創立120周年推進委員会」では委員長も務めさせていただきます。
山口で生まれ育って今があり、山口という街は本当に宝の街だと思っています。2026年10月から12月にかけて開催される「山口デスティネーションキャンペーン(DC)」に向け、「風水の地やまぐち~開運! ふくの地めぐり旅」などの観光企画を支援し、受け入れ体制の充実を図る「山口DC推進委員会」も副会頭として担当します。かつて所属していた委員会で「山口の宝をもっと発信していこう」と風水の企画を始めたのは私なのでその責任を感じていますが、次世代の人たちが「山口で生まれてよかった」と思えて、その子たちが「山口に遊びにおいでよ」と周りに言えるような、そんな街をともにつくっていきたいです。
「山口商工会議所にはああいう人がいたよね」と思ってもらえるチームを、正副会頭を筆頭につくっていき、次世代の子どもたちが憧れて、目指されるような、そんな山口商工会議所になる一助になれたらと思います。
田原文栄副会頭
6委員会に増設
河野 今期の会議所は、全会員・議員で構成する六つの部会(商業・理財・工業・観光サービス・運輸交通・建設)は従来通りですが、議員で構成する委員会は3から6に増設します。
また、高橋副会頭が話された通り、新たな対外事業「やまぐちコネクト」を年4回開催し、業種を超えた交流の場を広げ、地域経済のさらなる発展をめざします。
新役員の皆さまには、それぞれの部会・委員会・事業を担当いただく上で、幅広い世代の方々をお迎えできたことは心強く、これまで以上に多様で充実した活動が展開できると期待しています。
各担当委員会などに対する思いや考えを伺えればと思いますが、まずは田原副会頭から、いかがでしょうか。
田原 委員長を務める創立120周年推進委員会では、たすきをつないでいくイメージを持っています。コロナ禍が明けて、経済活動は大きく変わりました。これまでの歴史を記録して伝えていくことはもちろんですが、パンデミックが起こってから変化のあった山口商工会議所の活動を、いかに次世代に伝えていくか、つないでいくかということも重視します。
今の子どもたちが社会に出る頃には、この変化のあった状態が基盤です。そこで委員会では、これからの未来をつくる子どもたちから「どんな山口にしていきたいか」との意見を聞いていきたいと考えています。昨年8月の観光サービス部会で「山口のインバウンドを増やすには」の探究で文部科学大臣賞を受賞された高校生の発表を聞く機会がありました。私たちが見落としていたり、気付けていない部分に素直に気付かれている印象です。次世代の子どもたちと関わる場をつくり、年代や経験に関わらず、ともに住む私たちが一つとなって、山口を守り続けていくことができるといいなと考えています。
また、山口DC推進委員会も担当。「12月、山口市はクリスマス市になる。」事業を総括する「日本のクリスマスは山口から実行委員会」には、相談役として参画します。
河野 創立120周年推進委員会は、1907年創立の「山口実業談話會」から120周年を迎える2027年に向け、記念事業を企画するものです。創立110周年の節目に記念事業を実施できなかったこともありますので、当所の歴史や活動の記録をしっかりと後世に残すとともに、従来にとらわれない新しい観点からの事業にも取り組み、未来につながる新しい活動を展開してもらえたらと思います。
また、山口DC推進委員会では、昨年の「プレDCキャンペーン」を踏まえ、本番となる今年のキャンペーンを、地域経済の好循環へとつなげる取り組みを進めていただきたいです。
続いて、高橋副会頭はいかがでしょうか。
高橋 まず「やまぐちコネクト」は、初回を昨年11月に実施し、110人を超える参加がありました。第2回は2月9日に開催しますが、初回よりも参加者を増やし、交流がさらに活発になるよう盛り上げていきたいです。大学からの参加者も招き、インターンシップや就職支援につながるような関係もつくっていきたいです。
また、市民総踊り・山口七夕ちょうちんまつりを主催する山口市ふるさとまつり実行委員会の実行委員長も務めます。山口を代表する祭りを地域資源として維持・継承していくために、次の担い手となる若手経済人の参画は欠かせません。人口減少社会の中でも、重要な課題と考えています。集客や人手、運営資金、ボランティアなど、様々な課題解決に向けた検討も進めていきます。
河野 「やまぐちコネクト」については、開催後に「声をかけてくれたら」と耳にもしましたので、幅広く交流できるよう、参加者を広げていきたいですね。
続いて、女性・シニア・障がい者・外国人など、多様な人材の確保・活用策を検討し、人口減少時代に対応する新たな労働環境づくりを目指す「多様な人材確保対策委員会」についてはいかがでしょうか。
臼渕 今期から新たに設置された委員会です。慢性的な人手不足はどの業界も抱えている問題です。本来なら引き受けたい仕事も、人手がないために受注を止めているという声も聞かれます。これはその企業にとってだけでなく、ひいては山口市の発展にとっても良くないことです。また、外国人採用も課題の一つです。業界の一例として、採用後一人前に仕事ができるようになってきた段階で、福岡や広島に移動してしまうということがあります。友人の数や都市部との待遇面での差がその要因で、両県に挟まれている立地の悩ましいところです。「どうせ辞めてしまう」という思いが従業員の士気低下にもつながり、外国人受け入れの壁になるでしょう。
委員会ではまず、委員の皆さまが課題に感じられていることや、その課題に対してどんな打ち手があればうれしいのかということを知るところから始めます。その上で、商工会議所の委員会としてできることを検討していきたいです。
河野 「多様な人材」ということですので、ぜひ幅広い見地を持って進めていただけたらと思います。コンパクトシティ推進委員会や新山口まちおこし委員会についてはいかがですか。
臼渕 この二つは前期から継続の委員会となります。昨年「やまぐち魅力向上プラン」を策定し、山口市に提言しました。プラン策定をゴールとせず、必要に応じて内容をブラッシュアップさせながら実行に向けて進めていくことが大事だと認識しています。山口都市核・小郡都市核のいずれも関わるところなので、両委員会でしっかり連携していこうと両委員長とも話しています。
陸の玄関となる新山口エリアの街おこしとしては、にぎわいとコミュニティの復活、そしてMICEや複数日開催されるような大型コンベンションの誘致などによるKDDI維新ホールのさらなる活用で活性化。山口都市核に人流を呼び込めるようにしたいです。
前期には、新山口に住んでいる若者と意見を交換するパネルディスカッションを実施し、切実な声が飛び出しました。これを聞かれたJR西日本様が「しんやまエキスポ」というイベントを定期開催されるようになりました。山口都市核でも、実際に居住されている方の意見を聞く場を設けるなど、同様の取り組みができないかと考えています。
河野 両委員会では、現場の生の声をベースに積み上げていくことを大事にしながらも、長期的な視点で街中への住み替えや、公共交通・駐車場の整備についてもセットで検討を進めていけたらと思います。
コンパクトシティ推進委員会、新山口まちおこし委員会、多様な人材確保対策委員会の3委員会には、中長期的な人口減少対策を念頭に、地域の特性を踏まえた実効性のある活動を期待しています。続いて、椙山副会頭はいかがでしょうか。
椙山 私は今期から新設された「スポーツ振興・街活性化委員会」を担当します。レノファ山口FCは残念ながらJ3に降格となりましたが、最短でのJ2昇格を目指せるよう、「変わらず応援を続けていきましょう」と、委員長とも意気込んでいるところです。
プロスポーツの集客力はとても強く、お子さんからお年寄りまで幅広い年代の方が参加されており、チームの応援を通じた街の活性化や交流人口の増加など、期待できる点が多くあります。実際にスタジアムを訪れてお子さんが一生懸命に応援されている姿を見かけると、レノファを通じて山口を好きになり、郷土愛を育むことにつながるのだろうなと感じます。
また、アメリカ発祥のニュースポーツ「ピックルボール」の世界大会の活動にも参画していきます。昨年、建設部会の視察研修で長崎スタジアムシティなどを訪れたのですが、ジャパネットグループが中心となったスポーツによる街活性化への意気込みを強く感じました。山口市でもスポーツの力を借りて、自分たちの好きな街を盛り上げていき、シビックプライドの醸成につなげたいと考えています。
河野 スポーツ振興・街活性化委員会においては、従来の「レノファ山口FC応援プロジェクト」を委員会事業として位置づけ、さらなる支援を図りながら、スポーツ振興を通じて山口の街全体の活性化につなげたいと考えています。それに加えて、「PJFピックルボールジャパンオープンin山口」などの大会支援も行い、交流人口の増加を図れるようにできたらと思います。
経済循環と魅力向上に寄与
河野 皆さんの各担当委員会などへの思いや考えを伺いましたが、引き続き、副会頭や委員長・議員の皆さんそれぞれの立場で、独自の視点や新たな提案をしていただけることを、大いに歓迎したいと思っています。
繰り返しにはなりますが、われわれ山口商工会議所が、地元行政とより緊密に連携して取り組むべき最優先の課題は、喫緊の「物価高」への対応をはじめとする経済対策です。そして、中長期的には「行き過ぎた円安」への対策や「人口減少」への対応も挙げられます。政府においても様々な施策が検討・決定されていますが、当所としても実態調査を基礎に、その内容を精査し、地域経済に即した対応を進めてまいります。
新体制での活動開始に伴い、新たな委員会やプロジェクトを立ち上げました。これらの活動は、先に述べた課題の解決につながる手立てになると信じています。ゆっくりでも歩みを止めず、ひとつひとつ着実に成果を残し、市内経済の循環と地域の魅力向上に寄与する取り組みで、よりよいまちづくりを進めてまいりましょう。