最終結果が11位だった2024シーズンの成績を上回る「勝ち点58、失点40」を目標に掲げた昨季(2025シーズン)、レノファ山口FCのJ2リーグでの戦績は、7勝15分16敗の勝ち点36で、20チーム中19位。2016年のJ2昇格以来、初めてJ3に降格となった。この特集では、昨季を約3カ月ごとに振り返るとともに、選手の個人成績、シーズン報告会での渡部社長のコメント、「明治安田Jリーグ百年構想」と今年1月に発足する「レノファ山口後援者会」などについてお届けする。
1~12節(2月15日~4月29日)
アウェーでの開幕戦は、ヴァンフォーレ甲府戦。相手に先制を許し、0-1のまま流れを引き寄せられず、6年ぶりの黒星スタートとなった。
第3節(コンサドーレ札幌戦)でシーズン初勝利をあげるも、そこから黒星と引き分けが8試合続く。第12節(ジュビロ磐田戦)ではスコアレスで折り返した後半21分、#45山本桜大選手が2試合連続ゴールで先制。相手の猛攻をしのぎ、9試合ぶりの勝利で勝ち点3をもぎとるが、勝ち点11、順位は19位で4月を終えた。
初勝利をあげたコンサドーレ札幌戦
13~28節(5月3日~8月30日)
連勝を、と第13節(ベガルタ仙台戦)に、選手を7人入れ替えて臨んだが、シーズン最多失点の1-3で惨敗。3連敗後に白星をあげたものの、その後は引き分け、勝ちきれない試合が続く。順位も低迷する中、6月24日、志垣良監督の契約解除と中山元気コーチの監督就任が発表された。
しかし、攻撃力、決定力不足は否めず、11試合勝ち無しで8月を終えた。
29~38節(9月14日~11月29日)
ホームで迎えた第29節の対戦相手は、2位のジェフユナイテッド千葉。開始直後から果敢に攻め、主導権を握って試合を進めていた前半39分、#20河野孝汰選手がゴール前のこぼれ球から先制。後半13分に同点に追いつかれるが、終了間際、#34古川大悟選手のシュートが枠内に転がり込んだ。13試合ぶりの白星で、ようやく中山監督に初勝利を届けた。
しかし、その後も粘り強い守備が見られる試合もあるものの、追いつかれたり、逆転を許したり、決定機が生かせない試合が続く。ホームで迎えた第34節は、勝ち点差がわずか1で18位のカターレ富山との直接対決。試合が動いたのは後半23分だった。CKから#5喜岡佳太選手のヘディングシュートで先制! ヒヤリとする場面もあったが1点を守り切り、5試合ぶりの勝利。順位は富山と入れ替わり18位になった。第35節(ロアッソ熊本戦)もJ2残留をかけた直接対決となったが、#20河野選手の決めた1点を死守し、今季初の連勝。J2残留へ望みをつないだ。
ホームで迎えたシーズン最終戦(RB大宮アルディージャ戦)には、約8600人のサポーターが集まった。わずかな可能性を信じ、全力で挑んだ試合は、先制されるも追いつき、追いつかれ、勝ち越す展開に。長いアディショナルタイムの中、#34古川選手の退場もあったが大宮の猛攻を全員でしのぎ、3-2で勝利。しかし、他会場の試合結果により、レノファのJ3降格が決定した。
勝利するもJ3降格が決定(第38節 RB大宮アルディージャ戦)
レノファ山口FC2025年J2リーグ個人成績
「真に生まれ変わる年に」 シーズン報告会で渡部社長語る クラブ創設20周年節目のレノファ山口FC
悔しさと反省、そして感謝――。2025シーズンのレノファ山口FCは、J3降格という厳しい結果に終わった。降格が決定した翌日、11月30日に開催されたシーズン報告会の場で、渡部博文社長は、これまでクラブを支えてきた地域、企業、サポーターへの思いとともに、自身の責任や取り組みへの反省を語った。言葉の端々に、まずはJ2復帰へ向けて歩み直そうとするクラブの姿勢がにじんだ。
「責任はすべて自分にある」
報告会の冒頭、渡部社長はJ3降格という結果について深く頭を下げた。「日頃よりクラブを支えてくださっている皆様に、深い失望とご心配をおかけした。すべての責任は社長である私にある」と語り、チームが最後まで全力で戦ったことを踏まえたうえで、自らが責任を負う姿勢を明確にした。
先人と地域が築いてきたクラブ
続いて、山口県サッカー教員団から始まり、地域リーグ、JFL、J3、J2へと歩んできた歴史は、先人たちの情熱と行動、そして地域といった多くの人の支えがあってこそ成し得たものだと振り返り、クラブ創設に尽力した関係者や歴代の支援者に感謝を述べた。
また、山口県および県内全19市町がホームタウンとしてクラブを支えてきたことや、J1ライセンスの取得に必要だったスタジアム改修、クラブハウスの建設などにも触れ、「全県一体でクラブを応援いただいている体制は、Jリーグ全体に誇れるレノファの強み」と感謝の言葉を重ねた。
シーズン報告会で思いを語る渡部社長
「感謝が足りなかった」――痛切な反省
渡部社長は、パートナー企業や株主、ファン、サポーター、ボランティアスタッフのチームボンズにも触れ、支援は資金面にとどまらず、応援ツアーや地域イベントへの参加など、日常のかかわりそのものがクラブを支えているとし、「皆様の存在があってこそ、クラブは地域に根差した存在として成り立っている」と述べた。そのうえで、渡部社長は「支援が当然と感じてしまっていた時期もあった」と反省を述べた。「『お願いすれば助けてもらえる』という甘え、応援されることが当たり前であるという慢心が、クラブの信頼を少しずつ蝕んできたのだと思う」と語り、「これからはどんなに小さな支援にも心から感謝し、誠実な姿勢で信頼を積み重ねていきます」と誓った。
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今年はクラブ創設20周年を迎える。渡部社長は「単なる節目ではなく、クラブの歴史と先人の思いを受け止め、真に生まれ変わる年にしたい」と、改革を急ぐあまり見失っていたものを見つめ直し、原点回帰を図る考えを示した。
報告会では、「レノファ山口FC後援者会」の発足も発表された。今季を率いる新監督も決まり、クラブは新体制で再出発を図る。節目の年は、再出発の年でもある。原点に立ち返り、次の一歩を踏み出そうとしているレノファの歩みが、これから始まる。
「勝ちにこだわる集団を作る」 新監督に小田切道治氏
就任会見で語る小田切監督
小田切道治新監督は就任会見で、「必ず優勝し、最短でJ2に復帰する」と力強く宣言。J3については「どの試合も簡単ではないリーグ」としつつも、「レノファにはポテンシャルの高い選手がそろっており、十分にやれる自信がある」と手応えを示した。
目指すチーム像として「戦える集団、勝ちにこだわる集団」を掲げ、指導の軸については「1対1に負けないこと」と述べた。「1歩、1メートル、1点というところにどれだけこだわれるか。ちょっとした練習へのこだわりの積み重ねが勝敗を分ける」と語り、「簡単な戦いではないが、県民、サポーターとともに山口最強をつくり、最短復帰を目指したい」と呼びかけた。
【プロフィル】
1978年、富山県出身。富山第一高から京都パープルサンガ、ヴァンフォーレ甲府などでプレー。引退後はカターレ富山でアカデミーからトップまで指導。2022年、監督就任し24年にJ3からJ2復帰を果たす。25年の途中からは、J3奈良クラブの監督を務めた。
レノファ20周年
変わるリーグ、広がる支援の輪
地域とともに歩む ― 後援者会が始動
2026年、クラブ創設20周年という節目を迎えるレノファ山口FCは、大きな転換点に立っている。
その象徴の一つが、クラブを地域全体で支える新たな組織「レノファ山口FC後援者会」の発足だ。今月1月に始動する後援者会には、ユーピーアール(宇部市)をはじめ、山口マツダ(山口市)や不二輸送機工業(山陽小野田市)など、県内企業・団体が参画。企業・自治体・サポーター・地域住民が一体となり、クラブを支える仕組みづくりが進められている。県内19市町に展開する予定で、地域ブランドとしてのクラブ価値向上に加え、交流事業や地域活性化など、クラブを核とした新たな連携が期待される。20周年という節目に、レノファは「支えられるクラブ」から「ともにつくるクラブ」へと、その歩みを進めている。
今月、後援者会も発足
百年構想リーグと秋春制
一方、Jリーグ全体でも大きな変革が進む。
Jリーグは、2026シーズンからこれまでの「春秋制」から「秋春制」へと変更する。それに伴い、従来のリーグ戦に代わる特別大会「明治安田Jリーグ百年構想リーグ」が2月から6月にかけて開催される。J2とJ3は、全40クラブが参加する4グループ制で実施。地域リーグラウンドはホーム&アウェイ方式。その後、各グループの同順位同士が競い、順位を決めるプレーオフラウンドが行われる。昇・降格は行われない。
レノファ山口FCは「WEST-B」グループに所属し、ギラヴァンツ北九州、鹿児島ユナイテッドFC、サガン鳥栖、FC琉球など、地域色の強いクラブと同組となった。初戦の対戦相手はロアッソ熊本。移動負担の軽減に加え、地域同士の対戦が増えることで、これまでとは違った盛り上がりも生まれそうだ。
選手登録期限や賞金制度など新たな仕組みも導入され、クラブ運営やチーム強化の在り方も変わっていく。
節目の年に支援の輪を広げ、新たなリーグに臨むレノファ山口FC。地域とともに戦うシーズンに注目しよう。