夏のある日、食べものを探しにツンドラへ行き、迷子になった女の子のお話。
疲れきった女の子が地面にあいた穴の中で眠っていると、いつのまにかそばに女の人が立っていました。
「どうしたの? こんなところで」
わけを話すとその人は、穴の奥へと案内してくれました。そこにはおいしそうな食べ物がいっぱい。二人はそこで一緒にくらすようになりました。
そのうち秋になり、女の子は家が恋しくなってきました。
「あんしんして。かえれるわ。わたしは もうすぐ ねむるの。はるまで めがさめないの」
その人は女の子を村まで送っていき、別れ際にたいこを一つくれました。
それはまほうのたいこ。女の子がうたいながらたたくと、その音に導かれるように、たくさんの海藻や甘いきいちごや澄んだ水があふれ出てくるのです。
女の子は食べものをみんなにわけ、村は喜びにつつまれました。
自然のめぐみを分かち合いながらくらしている極寒地シベリアで生まれ、語りつがれてきた昔話です。
福音館書店(2000年)
文:うちだ りさこ
絵:シェイマ・ソイダン
ぶどうの木代表 中村 佳恵