これは、まど・みちおさんが百歳のときに作られた書き下ろし詩集です。
処女詩集『てんぷらぴりぴり』が出版されたのは、まどさんが59歳のとき。以来約40年間、宇宙、自然、いのちといった壮大なテーマの詩、ものの本質をごく短い言ばで表現した詩、言ばあそびうたなど、幅広いスタイルの詩を作り続けてこられました。
89歳以降は、ほぼ毎年1冊詩集を出しておられ、これが最後の作品となりました。詩集のタイトルは、一番終わりに収められた「のぼり…」という詩に出てくる言ばからつけられています。
「のぼりくだりの/このよの/カイダン/てんへか じめんへか/いきつくまで/だがいきついて/みるとまた/つづいてござる…」
百歳の心境をさらりとユーモラスな口調でうたいつつ、百年生きてきたからこそみえる景色が描かれているように思えます。
絵は、山口県在住の保手濱拓さんによるもの。藍色のにじみをきかせた線で描かれた抽象画は、詩の言ばと一体となってページの中におさまっています。
理論社(2009年)
詩:まど・みちお
絵:保手濱 拓
ぶどうの木代表 中村 佳恵