友人が列車で新山口から徳山に通勤している。彼女の観察によると、乗客の八割がなんらかの電子機器を見ている、と言う。通勤時間帯だから乗客は主に学生か中年の人だ。彼女は座れれば新聞を読む。
私は、ほんの時折、7時台の列車に乗る。湯田温泉駅から山口線で新山口駅まで。高校生が多い。彼らは友人と小さい声でニコニコと話している。参考書を真剣に見つめている人もいる。旅行客がキャリーケースを引いて乗ってくる。じっと窓の外を眺めている。私には見慣れた景色も旅行客には新鮮なのだろう。電子機器に触っている人は少ない。
昨年、久しぶりに名古屋から新山口まで新幹線に乗った。発車間際隣席に男性が座った。彼はすぐにパソコンを開いた。横目でちらりちらりと見た。何か横文字が並んでいる。どんな人なのだろう、と顔を見た。外国の赤毛の紳士だった。彼もこちらを見た。友好の笑顔。私もとびっきりの微笑みを返した。
私のいつも乗る市内循環バスの乗客は高齢者が多い。電子機器を誰もいじっていない。買い物袋を横に居眠りしているか、ぼんやり外を見ている。静かだ。空を行く飛行機の乗客は何をしているのかしら? もしかして、このバスを見ているかな?