清水寺(せいすいじ)の創建は大同元年(806年)と伝わり、山口盆地内では最古の寺と言われている。この寺内にある観音堂、山王社、そして山門内に納められた一対の金剛力士像は、いずれも県指定文化財となっている。観音堂は、かつては寄棟造り、茅葺であったが、残念ながら現在では鉄板で覆われている。今回観音堂ではなく、山門をイラストに描いたのは、かつて訪れた時、鉄板で覆われた屋根を見てガッカリしたためと、その一方で山門内の金剛力士像はなかなかの迫力があり、かつ山門から続く苔むした石の参道が実に趣深いものであったためである。
明の使者・趙秩(ちょうちつ)は、山口十境詩に清水寺を採り上げ、「清水晩鐘」と題した七言絶句を残している。難しくてもできれば解釈に挑戦してみて欲しい。
暮雲疎雨欲消魂
獨立西風半掩門
大内峯頭清水寺
鐘聲驚客幾黄昏
文・イラスト=古谷眞之助