幼 年 時
私の上に降る雪は
真綿のやうでありました
少 年 時
私の上に降る雪は
霙(みぞれ)のやうでありました
十七――十九
私の上に降る雪は
霰(あられ)のやうに散りました
二十――二十二
私の上に降る雪は
雹(ひよう)であるかと思はれた
二十三
私の上に降る雪は
ひどい吹雪とみえました
二十四
私の上に降る雪は
いとしめやかになりました……
【ひとことコラム】中也は雪が降る様子をたびたび詩に描いていますが、いずれも独特の時間感覚と情感をたたえています。この詩では、同じ行の繰り返しと七五調で一定のリズムを刻みながら、雪の状態や降り方の変化によって、二十四歳に至るまでの生の実感の変遷を巧みに表現しています。
中原中也記念館館長 中原 豊