私の上に降る雪は
花びらのやうに降つてきます
薪の燃える音もして
凍るみ空の黝(くろ)む頃
私の上に降る雪は
いとなよびかになつかしく
手を差伸べて降りました
私の上に降る雪は
熱い額に落ちもくる
涙のやうでありました
私の上に降る雪に
いとねんごろに感謝して、神様に
長生したいと祈りました
私の上に降る雪は
いと貞潔でありました
【ひとことコラム】年代によって雪の降り方が変化していく第一節に対して、第二節では雪が降り続く様子が丁寧に描かれていきます。〈なよびか〉はおだやかで上品なさま。天と地、神と人、過去と未来などをめぐるさまざまな思いを静かに映し出す雪。そこに詩人は恩寵と慰安を感じています。
中原中也記念館館長 中原 豊