吹く風が冷たくなってきましたね。暖かい柔らかいものを抱きたくなります。赤ちゃんがいいですね。赤ちゃんは、ふかふかで湯たんぽみたいだもの。
生まれたよ ぼく 谷川俊太郎
生まれたよ ぼく/やっとここにやってきた/まだ眼は開いてないけど/まだ耳も聞こえないけど/ぼくは知っている/ここがどんなにすばらしいところか//だから邪魔しないでください/ぼくが笑うのを ぼくが泣くのを/
ぼくが誰かを好きになるのを/ぼくが幸せになるのを//いつかぼくが/ここから出て行くときのために/いまからぼくは遺言する/山はいつまでも高くそびえていてほしい/海はいつまでも青く澄んでいてほしい/そして人はここにやってきた日のことを/忘れずにいてほしい
後期高齢者の私は、ここにやって来た日のことを忘れています。新鮮な力強い生への執着が薄れています。脚も弱っています。
谷川氏の詩「脚」の終連です。
だがカラダの脚の行けない所へ/ココロの脚なら行けるかも/孫悟空はだしで雲に乗り/三千世界を思うがまま/時空を超えてトリップすれば/甦る あの初めてのよちよちの/宇宙に通じる恍惚が
柔らかい希望の象徴の赤ちゃんを抱きたいな。ココロの脚も鍛えよう。